タイ語には息を強く出す「有気音(無声有気音)」と出さない「無気音(無声無気音)」があり、それぞれ息を強く出すか出さないかで別の音として区別します。この違いにより意味が変わる単語も多く、タイ語の発音を極めるうえで重要なポイントとなります。
タイ語の有気音と無気音とは?
タイ語の有気音とは「破裂の後に息を強く噴き出して発音する音」、無気音とは「息をほとんど出さずに発音する音」です。
よく勘違いされるポイントとして、日本語の「パ」は「唇を閉じた状態から破裂させて発音するので有気音だ」と思うかもしれませんが間違いです。
タイ語の「パ」は「有気音」と「無気音」が存在します。
日本語の50音で有気音と無気音を判断することはできないということを覚えておいてください。
有気音と無気音の対応表
「有気音と無気音までそんなにたくさん覚えられないよ!!」と思う方も多いと思いますが安心してください。
タイ語で有気音と無気音の違いがあるのは「カ行・タ行・パ行・チャ行」の4つだけです。
タイ語で会話をしていくうちに自然と覚えていく(発音していく)ので無理に覚えなくてよいと思います。
日常会話で毎日使われる「ไป(パイ):行く」や「กิน(キン):食べる」から無気音で発音することに意識してみましょう!!
無気音:息をほとんど出さずに発音する音(k、t、p、c)
有気音:破裂のあとに、息を強く吐き出して発音する音(kh、th、ph、ch)
ローマ字では、有気音を「h」を付けて(kh・th・ph・ch)と書き分けるのが一般的です。
日本人が間違いやすい理由
日本語には「息の強さ」による区別がない:カ行を強く言っても弱く言っても、同じ「カ」として扱われます。
日本語の「カ・タ・パ」は、タイ語の無気音と有気音の中間に聞こえることが多く、どちらにも聞こえてしまいます。
ローマ字だと違いが見えにくい:「k」と「kh」、「t」と「th」は、一見すると似ていて、読み方の違いに気づきにくいです。
タイ語の読み表記「th」を英語の「th」と誤解しやすい:タイ語の「th」は、英語の「think」のような歯の間の音ではなく、「強く息を出す「タ」」です。
先ほど、日常会話で毎日使われる「ไป(パイ):行く」や「กิน(キン):食べる」を例に挙げましたが、下記に無気音と有気音の音声比較を表記しました。
結論から言うと、ไป(パイ)も กิน(キン)も、本来は有気音ではなく無気音です。 有気音のように聞こえるのは、日本人の耳の特性と、日本語話者の発音の癖が主な原因です。
ไปの「ป」は無気音の「p」、กินの「ก」は無気音の「k」です。有気音なら ผ・พ(ph)や ข・ค(kh)になります。
「無気音のパイは「パイ」、有気音の「パイ」は「パハイ」」「無気音のキンは「キン」、有気音の「キン」は「キヒン」」のように聞こえますでしょうか?
※このペアは声調も違います(平声と下声)。息の強さに加えて、声の高さの動きも聞き比べてください。
※声調は同じ(平声)なので、息の強さだけの違いを聞き比べられます。
では、なぜ「ไป(パイ):行く」や「กิน(キン):食べる」は日常会話(有気音・無気音を意識しない)では有気音のように聞こえるのでしょうか?
- 日本語のカ行・パ行は、タイ語の無気音と有気音の「中間」にある
日本語の語頭の「か」「ぱ」は、タイ語の無気音よりは息が出て、有気音ほどは強くありません。そのため、日本語話者の耳にはタイ語の無気音が「濁った音」や「弱い音」に聞こえ、有気音のほうを「普通のカ・パ」と感じやすいのです。 - 語頭の無気音は「ガ」「バ」に近く聞こえることがある
タイ語の無気音は、息をほとんど出さず、声帯の震えを始めるタイミングが早い音です。日本語話者には「ギン」「バイ」のように聞こえることもあります。逆に言えば、「キン」「パイ」とカナ通りに強く発音すると、息が出すぎて有気音になりやすいということです。 - 日本人が自分で発音すると有気音になりがち
「ไป(パイ)」を日本語の「パ」の感覚で言うと、唇を開く瞬間に息が出てしまい、タイ人には「ไผ」のような ph の音に聞こえる場合があります。カナ表記(パイ・キン)に引っ張られる影響もあります。 - 話者や場面による違い
実際の会話では、話す速さや感情、個人差で、息の出方が変わります。会話の中のไปは軽く短くなることが多く、逆に強調すると息が強まる場合もあります。
有気音と無気音で意味が変わる単語
有気音と無気音で意味が変わる単語を紹介します。
同じ母音・同じ声調で、有気音か無気音かがだけ違う単語です。
息のマークは「息の強さ」のイメージです。有気音の「th」は英語の think の th ではなく、息を強く出す「タ」です。
有気音と無気音の発音のコツ
有気音と無気音の発音練習として定番なのが、「口の前に薄いティッシュ」をかざして発音する方法です。
無気音(k、t、p、c)はほとんど動かないのに対して、有気音(kh、th、ph、ch)はティッシュが大きく揺れます。
- 紙を使ったチェック法(定番)
口の前に薄い紙(ティッシュ)をかざして発音します。
有気音(kh・th・ph):紙が大きく揺れる、無気音(k・t・p):紙がほとんど動かない - 無気音のコツ
息を出さず、「ガ」「ダ」「バ」に近い、軽い音を意識すると近づきます(濁らせすぎない)。
語頭の「カ」を弱く、短く発音するイメージです。 - 有気音のコツ
「カッ(ハッ)」のように、破裂のあとに息を一瞬吐き出す感覚で言います。
日本語の「か」を、はっきり力を込めて発音すると近づきます。 - ペアで練習する
「パー → パー(強)」のように、無気音と有気音を交互に声に出します。
録音して、ネイティブ音声と聞き比べます。